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流されることも能わないなら、 ただどこまでも穴掘って逃げる
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(11/30:全52作品レビュー完了!)
![]() >> yahoo!動画: ロシアアニメ傑作選 yahoo!動画にて、11/30までの期間限定で配信中のロシアンアニメの有名作品の数々が無料で拝めるというゴッド企画。 その数、なんと52本。すごい。太っ腹。 こんなすばらしい企画をほうっておくわけにはいかない。 というわけで、ちょっと血迷って全部レビューすることにしました。 って軽い気持ちで宣言してしまったものの、さすがに量が量。 一気に完全なかたちでエントリーなんてちょっと無理。 毎日少しずつここに追記していく方式でのんびりやっていきたいと思います。 一日一本ペースでも、11/30までには余裕で完走できると思うのだけど、 なにぶん三日坊主の飽き性なのでそれは果てしなく怪しい。 つまりこれは自分の有言実行力を試されているのでもあるわけで、 そこらへんも生暖かくウォッチしてみるといいと思います。がんばります。 【10/7 追記】 ところで、この作品リストをよくよく見ると、これらの作品ってGENEONから出てる 「ユーリ・ノルシュテイン作品集」と「ロシア・アニメーション傑作選集 Vol.1〜4」の作品を全部順番に並べただけだったりして。 ってことはこれらを全部見ちゃえば、もうこれらのDVDは買わなくていいってことか。 yahooが太っ腹というより完全にGENEONさんが神がかって太っ腹。 やべー、かっこいい!一生ついていきます!それより商売しなくていいんだろうか。 ↓それでは、スタート。 1.「25日・最初の日」(Y・ノルシュテイン / 08:55 / 1968) ★★☆☆☆ これは1917年10月のロシア革命を題材にした、監督デビュー作。 シュヴァンクマイエルの「スターリン主義の死」を思わせる社会派なテーマで、 絵面も共産主義時代のプロパガンダポスターを思わせる武骨なテイスト。 おそらくこの作品自身もプロパガンダ的な意味合いが強かったんだろうな。 BGMのショスタコーヴィチがかっこいいけど、ちょっと平坦な印象は否めないか。 2.「ケルジェネツの戦い」(Y・ノルシュテイン / 10:04 / 1968) ★★★☆☆ ノルシュテイン2作目。 リムスキー・コルサコフのオペラ曲、 「見えざる町キテージと聖女フェヴォロニャの物語」に乗せて描かれる戦争叙事詩。 平和の尊さと、その裏に横たわる夥しい死体の、悲しき犠牲の尊さを謳う。 洞窟のような暗いセットの中に紙の人形を配置して撮影する手法が面白い。 フレスコ画風の絵柄が中世っぽさをうまく演出してます。 なお、ここで下敷きになっているキテージの伝説についてはうちの過去記事参照。 3.「狐と兎」(Y・ノルシュテイン / 12:08 / 1973) ★★★★☆ いよいよ本領を発揮し始めたノルシュテイン3作目。 社会派の重たい前2作とは打って変わって、 特有のつぶらな瞳を持った登場キャラたちが繰り広げる キュートネス(造語)大爆発のお伽噺。 純粋無垢なかわいらしさではノルシュテイン全作品中トップ。 特に最後の2分間、畳み掛けるようなテンポで繰り出される アクションの一つ一つがいちいち愛らしすぎてもう死ぬ。 ここだけでも観る価値あり。 絵本のような縁取りも美しい。 4.「あおさぎと鶴」(Y・ノルシュテイン / 09:55 / 1974) ★★★★☆ ノルおじさん4作目。 「ケルジェネツの戦い」でも少し似ている手法を使ってたけど、 セットの中に紙のパーツを配置して撮影(ちゃんと遠くのパーツがピンボケする)ことで 立体感と雰囲気がものすごくよく出ている。 朝もやのシーン、霧雨のシーン、そして夜の花火のシーン(ここは必見!)、 どれも見事な空気感、うっとりするような美しさ。 5.「霧につつまれたハリネズミ」(Y・ノルシュテイン / 10:20 / 1975) ★★★★☆ ノルおじさんの5作目にして代表作の1つ。 ヨージックのキュートさももちろんのこと、ぼんやりとした霧の表現力が凄まじい。 霧の向こうに何があるかわからないヨージックの不安が完璧に描かれてます。 余韻の残るラストシーンも素敵。 「話の話」よりもとっつきやすいので、 今回初めてロシアアニメに触れるという方は、まずはこれから観て! ちなみにDVDでも原語+字幕で収録されていたけど、 以前テレビ放映された時は江守徹らによる吹き替え版だったらしい。 観てみたかった。 あとヨージックのキーチェーン欲しいよー。 6.「話の話」(Y・ノルシュテイン / 29:01 / 1979) ★★★★★ ノルおじさんの6作目にして最高傑作と言われる作品。 初期の社会派テイストと、それ以降の幻想的なお伽噺のテイストが 渾然となった映像詩。 灰色オオカミがほくほくとおいしそうに食べるイモ、 焚き木の残り火、ぽつりぽつりと呟かれる子守唄、 オーバーラップする戦死通知、闇を切り裂く自動車と焼夷弾の光、 光に包まれて牛と縄跳びする女の子、食べかけで雪の上に残されたリンゴ。 全てのディテールが有無を言わさず最高。 ロシアのアートアニメーションの一つの頂点。 ロシアアニメ初体験で「霧につつまれた〜」がいけるクチだった方は 次にこの作品でその奥深さに打ちのめされてください。 7.「愛しの青いワニ」(ワジム・クルチェフスキー / 09:07 / 1966) ★★★★☆ デビュー前のノルシュテインがスタッフとして参加した作品。 だから彼名義ではないのだけど、ノルシュテインDVDには収録されてた。 花が好きな、体の青い(ここではそれは「醜い」ってことらしい)ワニが 同じく花が好きな、美しい牝牛と分不相応な恋に落ちて振られる話。 「花が好き」という共通項でもってた二頭の恋が、 秋が来て花が散った瞬間に一方的に終わるというのは、 一見理不尽だけど、現実のメタファーと考えるとすごくリアルな話だなあ。 「花があればいいのか!」というワニの叫びも、そう捉えるとホント悲痛。 ビジュアル面では取り立てて言うことはないけど、切ない終わり方が好き。 8.「四季」(イワン・イワノフ・ワノー / 09:19 / 1969) ★★★☆☆ ノルシュテインが助監督として携わった作品で、これもDVDには収録。 ストーリーや表現手法は至ってシンプルで、 民族性が強くきらきらしたデザインのオブジェやキャラの魅力を楽しむ感じ。 しかし春に出会い、夏に恋の花が開き、秋に別れ・・・という構成には やはり直前に観た「愛しの青いワニ」との相似性を感じずにはいられない。 季節のある国なら、どこでも春夏は「芽生え、出会い、生」のイメージで、 秋冬は「落花、別れ、死」のイメージというのは大差ないだろうけど、 とりわけロシアの地では、氷雪の中に全てを閉ざされてしまう秋冬には 直結で「死=別れ」のイメージが強く染み付いているんだろうな。 なお正監督のイワン・イワノフ・ワノーは、実は上でレビューした 「ケルジェネツの戦い」でも共同監督としてノルシュテインと仕事を共にしてます。 9.「ひとりぼっちのカバ」(E・ナザーロフ / 05:50 / 1975) ★★★☆☆ ここからエドゥアルド・ナザーロフ監督シリーズ。 社会主義に反するとして上映禁止の憂き目にも遭ったという処女作。 集団社会を「うるさくてかなわん」と笑い飛ばす姿勢が 当時のソ連ではそれだけ痛烈に映ったということなんだろうな。 リベラル個人主義の価値観の中にどっぷり漬かって生きている日本人には ただの微笑ましい作品にしか映らないけど。 かわいいんだかそうでもないんだかよくわからないギリギリラインの カバのキャラクターがぽこぽこ増殖するシーンがキュートで印象的。 10.「お姫様と怪人」(E・ナザーロフ / 05:22 / 1977) ★★★★☆ ナザーロフ監督二本目。 やさしいお姫様が悪い怪人に食べられようとするが、 お姫様のやさしさに怪人が改心・・というのが前半部分。 これだけならごくありふれたお話だけど、もしも・・・ という後半部分は、その目で確かめてください。 ドリフのもしもシリーズみたいな発想。 節のついた語りや台詞回しがいい感じ。 11.「猛獣狩り」(E・ナザーロフ / 10:21 / 1979) ★★★☆☆ ナザーロフ監督三本目。 それにしても、作品によって絵柄が全然違う人だなあ。 銃器店に入った少年が、サバンナで猟銃を持った男の写真を見て、 遠いサバンナへ空想の旅へ出かけるお話。そして・・・ 相変わらず余計なものの一切ない、シンプル極まりないストーリー。 油彩の風景画のような美しいサバンナの描写と緻密な動きは見もの。 12.「犬が住んでいました」(E・ナザーロフ / 10:40 / 1982) ★★★☆☆ ナザーロフ監督四本目。 役立たずとして山に捨てられそうになったダメ老犬と、 ろくに狩りのできないダメ老オオカミとのほのぼのした交流を描く。 妙にシュールな人間たちの挙動に対して、 犬やオオカミのモーションはわかりやすくコミカルでかわいい。 個人的には、何よりも随所で出てくる地味に本格的な民謡の唱和にぐっときた。 13.「アリの冒険」(E・ナザーロフ / 09:37 / 1983) ★★★★☆ ナザーロフ監督五本目。 この作品だけは、ちょっと前に渋谷ユーロスペースでやってた 「年をとった鰐&山村浩二セレクトアニメーション」で既観。 いろいろな生き物の棲む森を舞台に、 風で巣から遠く飛ばされてしまったアリが いろんな生き物にヒッチハイクしたりしながら巣を目指すお話。 台詞はなく、鳥や虫の鳴き声など以外にBGMも一切なし。 ひとつひとつの効果音も凝っていて、本当に森の中にいるかのような 臨場感のある仕上がり。これはいいね。キャラもキュート。 ノルシュテイン監督の「あおさぎと鶴」で出てきたような、 ピントをぼかした前景や背景を置いて立体感を出す手法がここでも使われてた。 14.「マルティンコの奇跡」(E・ナザーロフ / 11:01 / 1987) ★★★☆☆ ナザーロフ監督六本目。 この主人公には取り立てていいところとか取り得の類が一切ないのに 魔法のトランプは拾うわ魔法のリンゴは拾うわのラッキーづくしで 金は手に入るわ大臣にはなるわ一国のお姫様は嫁にするわのサクセスづくし。 超がつくほど能天気な行き当たりばったりの成功物語で、 なんだか観てると妙に腹が立ってくるよ。 これはこれである意味世の中の不条理が現れている気もするけど、 やっぱり「世の中そんなうまい話はねーよ!」っていう方向で オチをつけてくれたほうが観てる方は落ち着くというかオチつくというか。 さらっとうまいこと言ったような感じに見せかけて次。 15.「不思議な国のコジャヴィン」(A・フルジャノフスキー / 09:58 / 1966) ★★★★☆ 続いてアンドレイ・フルジャノフスキー監督シリーズ。'66年の処女作。 いかにもソビエト!という感じの共産主義アートな画風で 融通の利かない官僚主義への風刺をものすごくストレートに込めた 社会派なブラックユーモアをぶちまけ、当然のように上映禁止食らいまくりの武闘派な人。 こういうハードボイルドかつ徹底的に不条理な、 安部公房みたいな世界観は個人的に大好きです。 バイオリンのシーンが特にお気に入り。 16.「奇妙なタンス」(A・フルジャノフスキー / 04:39 / 1970) ★★★★☆ フルジャノフスキー2作目。5分足らずの小品。 部屋に届いた巨大なタンスが、次第に部屋そのものとなるという ただそれだけのシンプルなお話なのだけど、ディテールがなかなか。 本物の窓から見える本物の青空を、絵に描かれた偽物の青空で覆い隠していたり、 鏡の前にいる主人公と、その鏡像がありえない位置関係になっていたり(わざと、だよね?) 前作のようなド直球なメッセージでなく、さりげない形で皮肉や風刺を忍ばせる。 終わり方も(想像できる範囲内のものではあったものの)いかにも寓意的。 しかし、やっぱり安部公房っぽいよなー。 17.「ちょうちょ」(A・フルジャノフスキー / 09:43 / 1972) ★★★★☆ フルジャノフスキー3作目。 急に劇画タッチの濃ゆい絵柄に。 フレーム数は減ったものの、その一枚一枚が絵画のような完成度。 サイケデリックな彩色と、幻惑的な物語や音楽が、 白昼夢のような妖しくも美しい世界に観る者をいざなう。 グラフィック的には彼の作品中では傑出してる。 18.「王様のサンドウィッチ」(A・フルジャノフスキー / 10:24 / 1985) ★★★☆☆ フルジャノフスキー4作目。 「くまのプーさん」のA・A・ミルンが書いたおとぎ話の映像化。 王様が朝食のパンに塗るバターを用意するために、 配下の者たちがてんやわんやするお話。 物語としてはそこまでドタバタな展開というわけではないのだけど、 演出などがいちいちテンション高くて、全体的に小気味良いテンポ。 軽くてナンセンスなノリだけど、最後の「誰一人私のことを〜」というセリフで さりげなく皮肉を込めてたりするあたりはさすが社会派。 あと、牛が無駄にセクシー。「愛しの青いワニ」の牝牛もそうだけど、 ロシア人にとっての牝牛のイメージってのはこんななんだろうか。 日本人にとって「女豹」って言葉がもつ含みと同じようなもので。 19.「魔法のグラスハーモニカ」(A・フルジャノフスキー / 19:46 / 1986) ★★★★☆ フルジャノフスキーの5作目。 「この作品中の出来事は幻想的に見えるが、現代ブルジョワ社会にはびこる果てしない欲望や、警察の横暴、人間の孤独、残酷さなどを思い起こしてほしい」 という、官憲に思いっきりケンカを売った前置きの時点ですっかりフルさん印。 まあ、この頃にはもうすでにソ連も崩壊直前だったわけだけど。 絵柄や世界観は前作の「不思議な国のコジャヴィン」の延長上にあって、 そこにボス、デューラー、アルチンボルドなどの有名絵画からのコラージュが載る。 金銭欲に溺れ、おぞましい異形のものへと変貌していく人々を、 グラスハーモニカの調べが救済する、といういかにも啓蒙的な内容は 好みが分かれると思うけど、前半の金の亡者ぶりの描写はなかなかに強烈。 20.「ある犯罪の物語」(F・ヒトルーク / 20:11 / 1962) ★★★☆☆ 続いてフョードル・ヒトルーク監督作品シリーズ。 なんだか6〜70年代にすごく流行ったような感じのモダンポップな画風で、 演出も省略とデフォルメ満載で非常に凝っててスタイリッシュ。 それで内容も洒脱なかるーいお話なのかなと思って油断していると、 実は「無神経な隣人ばかりの都会でノイローゼに陥った男の凶行」という 予想外にへヴィなストーリーにちょっとびっくりというそんな寸法。 最後のシークエンスが辛辣です。でも話自体はやや平凡かな。 ビル建設のシーンなどの大胆なデフォルメ表現と、 楽器を使った会話表現がおもしろかった。 21.「フレームの中の男」(F・ヒトルーク / 10:20 / 1966) ★★☆☆☆ ヒトルーク2作目。 フレーム=社会的地位・体裁の額縁に収まり、社会の中で 周囲の「フレームの住人」たちを蹴落としながら上を目指し続ける人生を選んだ男の物語。 世間体がすべて、額縁がすべて、という生き様の果てに、 男は際限なく立派に、豪奢に、肥大化してゆくフレームに押し潰される。 カラフルかつリアルな「現実」を象徴しているような実写のカットが印象的だったけど、 寓意としてはわかりやすい部類で特にヒネリのないまま展開するため だいぶ先が読めちゃって全体的なインパクトは薄味。 22.「フィルム、フィルム、フィルム!」(F・ヒトルーク / 19:17 / 1968) ★★★★☆ ヒトルーク3作目。 映画版「いっぽんの鉛筆のむこうに」みたいな話。 一本の映画が出来上がるまでの、監督、脚本家、俳優その他スタッフたちの悪戦苦闘を、 ノリノリなソビエトロックに載せて描く。 処女作「ある犯罪の物語」同様の大胆なデフォルメ表現が全開で、 古きよき時代のスラップスティック喜劇のようなハイテンションなノリが楽しい。 配給会社?からの無慈悲な改編指示への風刺(監督の私怨も少し入ってる?)もちらちらと。 まあそれ以上でもそれ以下でもない内容なんだけど、活き活きしたキャラがとても楽しげで 他の作品と比べるとだいぶ長編だったのも全く気にならなかった。 これ作ってる側も楽しかったんだろうな、と思う。 23.「にぎやかな無人島」(F・ヒトルーク / 09:43 / 1973) ★★★☆☆ ヒトルーク4作目。 無人島に一人ぼっちの男が救助を待っている。 待てど暮らせど船の姿が見えない絶海の孤島・・・なんてことは全然なく、 頻繁にいろんな船などがバンバン通る恵まれたスポット。 なんだかんだで警察やら軍隊やら学者やら石油採掘チームやらマスコミの取材班やら 押し売り業者やら牧師やらがひっきりなしに訪れるのだけど、 彼らが示す興味はすべて自分本位で、誰も彼を無人島から救助するものはない。 最後に初めて現れた、彼の孤独と苦しみを理解できる者は・・・。 これもハイテンポかつコミカルなタッチでサクサク進むのだけど、 終わってみると色んなメッセージや寓意が籠もっていたことに気づかされる。 このオチ好きだなあ。 24.「ライオンと雄牛」(F・ヒトルーク / 09:49 / 1983) ★★★★☆ ヒトルーク5作目。ここにきて、突如絵柄も何もかも大幅な変貌。 今までのスタイリッシュなカートゥーンスタイルから、 劇画チックで重厚かつ話も暗い、そんな作風に突然のクラスチェンジ。 最初はてっきり別人の作品かと思ってた。前作からの10年の間に何があったんだろうか。 ライオンの支配する土地に迷いこんだ一頭の雄牛。 互いに孤高の存在として、牽制し合いつつもお互いを認め合う仲になるも、 最後に待っていたのは悲しい結末。 今回のシリーズを見始めて、初めて明確な悪役っぽい卑屈キャラが登場してきた。 実際には一概に悪役とも言い切れない部分もあったけど。 ビジュアルだけでの説明では不明な点が多く、最後の肝心な部分に関しては いろいろな解釈をする余地がありそう。 雄牛の泰然とした態度とまなざしがかっこ良かった。 25.「扉」(ニーナ・ショーリナ / 10:45 / 1986) ★★★★☆ ニーナ・ショーリナ1作目。 人形ベースのストップモーションアニメ。 入り口の扉が開かなくなったアパートを巡る不条理劇。 わりとシュールな描写が多く、途中はだいぶハチャメチャ。 いわゆるドタバタ喜劇で、最後にようやく扉が開いてハッピーエンド・・ と思っていたのだけど、実際は扉が開いてから後の方がずっと重要だった。 シンプルな設定ながら示唆に富んだ良作。 26.「夢」(ニーナ・ショーリナ / 10:33 / 1988) ★★★★★ ニーナ・ショーリナ2作目。 ドストエフスキー「地下室の手記」をベースとした作品。 「何者かになろうとして、何者にもなれなかった」男が 死を目前にして発する、屈折した自らの生への回顧。 絶望と諦念と悲壮に満ち満ちた孤独な末期に、 遠い昔に母が歌ってくれた子守唄が囁くようにリフレインする。 とにかく壮絶、としか言いようがない悲しくも美しい描写に圧倒された。 次作「アルター・エゴ」と並んで陰鬱系人形アニメの真髄を見た気がする。 27.「アルター・エゴ」(ニーナ・ショーリナ / 09:26 / 1989) ★★★★★ 実写と人形アニメを組み合わせで綴られる退廃的映像詩。 グズグズと崩れていく野菜などのグロテスクな描写や カメラワークなどはかなりシュヴァンクマイエル風ながら、 全体に漂う冷ややかで無機質な空気感はどちらかというとクエイ兄弟っぽい。 一切の台詞や説明的表現がなく、ひたすらデカダンスなイメージの連鎖が続く。 難解なので好き嫌いは分かれるだろうけど、悲しげな透明感が好き。 28.「つるの恩返し」(イデヤ・ガラーニナ / 10:10 / 1977) ★★★★☆ 日本民話をロシア人アニメーターが再現。 クレジットを見る限り日本人スタッフは参加していないようだけど、 そのわりにはムード的にあまり違和感のない出来栄え。 日本っぽさというより、川本喜八郎っぽさと言った方が正確かな。 撮り方も雰囲気もすごく似てる。 とはいえ原作にいないはずのおばあさんがいる時点で別物と思ったほうがいいかも。 時々西洋風の演出だったり中華テイストの小道具が出てきたりもご愛嬌。 (悪代官は歌舞伎メイクだし、小判じゃなくて金貨だし) でも作品としての完成度はなかなかの水準。好き。 29.「キャバレー」(イデヤ・ガラーニナ / 20:51 / 1984) ★★★★★ 運命の女性に恋焦がれ翻弄される男を描いた悲劇。・・・なのだけど、とにかく構成がただものでない。 前半のやたらテンションの高いドタバタ喜劇風のマリオネットパートですっかりそういう作品なんだと思っていたら、後半部でぶっ飛ばされるよ! 前半のがちゃがちゃした猥雑さも、後半の凍てつくような悲壮さも どちらもものすごくクオリティ高し。 30.「毛糸玉」(ニコライ・セルブリャコフ / 09:32 / 1968) ★★★★☆ ある寒い日に、一人のおばあさんが出会った魔法の毛糸を持った犬。 どんなものでも編み出せる毛糸の魔力の虜となったおばあさんは、次第に自らの欲望に呑みこまれて・・・ 寓話としては非常にシンプルな話なのだけど、最後のちょっと残酷なオチにはもう一つの含意があるように思える。 強欲に侵食された心身は、その強欲を生み出す魔法が消え去るともろともに失われる。 ただ今まで魔法で得たものが再び奪われるだけでは済まない。 もっと高い代償を払わなくてはならない。 このおばあさんはただ毛糸玉を拾っただけで、何か悪いことをしたわけではない。 何でも作れるというから欲を出しただけで、あのような結果になる。 欲望に身を任せるというのは、そういうアンフェアな取引なのだ。 と、言いたかったのではないかと今適当にこじつけました。 シンプルな表現なだけに、なにか突き放されたような、 そして身につまされる思いになる作品。 31.「オオカミと子牛」(ミハイル・カメネツキー / 10:15 / 1984) ★★★☆☆ どうにもこうにもヘヴィな作品が続いて胃がもたれそうなところに、久々のキュートネス系きたよ! タイトルの通り、オオカミと子牛のハートフルな交流を描いたお話。 本来食い物のはずの子牛にいつしか情が移っちゃったオオカミが、 他の子牛を狙う動物たちから子牛をかばって・・・ って、こりゃ完全にアレですね。「あらしのよるに」。 まああれほどドラマティックな展開はなく、素朴な味わいではあるけど、 子牛たんのキュートネスぶりは正直タメ張ってる。 あのとろんとした瞳と喋りに悶えてください。 32.「アンダーグラウンド」(スダニスラフ・ソーコロフ / 20:41 / 1987) ★★★☆☆ アンデルセンに童話のインスピレーションを与えた一晩の夢、 というコンセプトで展開する妖精たちのお祭り騒ぎ。 ところどころで彼の童話の要素がちらちら見え隠れする中 ちょっとだけラブロマンス風味。 全体的に冗長で、正直よくわかんない部分も多かったけど、 ラストカットは好き。 33.「ドン・キホーテ」(バァジーム・クルチェフスキー / 19:22 / 1987) ★★★★☆ 「善行と信じ行動したことが、どう悪行に変わるのか・・・」という 冒頭のナレーションがテーマの全部を簡潔に語る。 なにが正義でなにが悪なのかの判断ができないまま盲目的に「善行」に走った、 原義どおりの「確信犯」のお話。非常に教訓的。 原作とは違った新しいタイプの(そして原作よりもシリアスな) 空気の読めなさを発揮するドンキホーテとサンチョパンサが、 自業自得なんだけどちょっと哀れ。 34.「船上のバレリーナ」(レフ・アタマノフ / 16:40 / 1969) ★★★☆☆ レフ・アタマノフ監督作品シリーズ。 久々にマンガチックなデフォルメ全開の楽しい作品。 船の上で意味もなく常にバレエを踊り続けるバレリーナに船員きりきり舞い、 っていうただそれだけのお話。 一応後半で、船が難破しそうになるもバレリーナの活躍で生還という ちょっとした展開はあるけれど、それでも全体にそこはかとなく漂うナンセンス感。 「で、なんでずっと踊ってるの?」っていう素朴な疑問はおいといて ひとまず頭を空にして楽しめばいい塩梅。 35.「サイクリスト」(レフ・アタマノフ / 04:30 / 1968) ★★★☆☆ レフ・アタマノフ監督2作目。 花や蝶々を楽しみながらゆったりサイクリングを楽しんでいたはずのこの男、 何もないハイウェイに出てきた途端、何かのスイッチが入って 自分より速い存在は何であっても許さない!とばかりに 車や列車や飛行機を追い越していく。 それにしてもこの男、乗り乗りである。 みたいな感じの短いお話。 ラストカットで目の前をのそりのそりと通過する芋虫から 「競争ばかりの人生なんてロクなもんじゃないよ、そう生き急ぐなよ」 っていう声が聞こえてくるかのよう。 36.「フェンス」(レフ・アタマノフ / 00:49 / 1967) ★★★☆☆ 余計なものをすべて削ぎ落としたシンプルなシュールを追求する アタマノフ監督3作目。 シンプル化が至って全52作品中ぶっちぎりの最短、54秒の超短編です。 姿の見えない不安からフェンス越しにいがみ合っていた犬同士が、 フェンスを取り払われて、仲直り。 東西冷戦という緊迫した国際情勢の下、みんな仲良くしようよーっていう 監督の思いがそのまんまストレートに込められた作品。 37.「ケロケロ」(エレーナ・フョートロワ / 10:31 / 1990) ★★★☆☆ このたびめでたく脚が生えて、大人社会の仲間入りを果たした新人カエルくんが見たカエル社会。 餌である虫を獲るために常に必死で、虫獲りの巧いリーダーのやることなら逐一真似しようとする大衆カエルたち。 そうやってがんばって虫獲っていても、ひとたび鳥さんに目をつけられて丸呑みにされてしまえばハイそれまでよ。 そんなシビアな世界を描く。 後半にさしかかるまでは普通に展開するのに、ラスト2分くらいで そこまでの流れを突然力強くぶった切るナンセンスさに笑ってしまった。 まあいろいろ大変なことはあるけど、俺たちはこんなカエル社会で そこそこ楽しく生きてるんだぜイェーイ! っていう感じの根拠のないポジティヴさが何だか異様。 38.「スパイたちの情熱」(エフィム・カンブルグ / 20:45 / 1967) ★★★☆☆ スパイもの映画の数々のクリシェを徹底的にパロったナンセンスコメディ作品。 モスクワで発明された「全自動虫歯治療マシン」が、 虫歯に悩む敵国のボス率いる組織に狙われた! 世紀の大発明を守るため、我らがKGBが全力でそれを阻止すべく立ち回る! 一応こういう話なんだけどまあストーリーはどうでもいいや。 どちらかというとひたすらコネタを楽しむ感じ。 自分の歯を弾くことでモールス信号を送るとか、小さなバカ発想がぎっしり。 楽しい。 20分とわりと尺のある方だけど、テンポよく進むので苦もなく観られます。 39.「えんぴつと消しゴム」(エレナ・ガグリルコ / 02:57 / 1990) ★★★★☆ えんぴつと消しゴムの「私、描く!」「私、消す!」的なほのぼのした交流を描いた、 3分弱のかわいい系小品。 時にはケンカもしつつ、でも仲良く1つの絵を描き上げる。 基本的にずーっとほのぼのしたタッチとノリなんだけど、 最後に出来上がる絵がなんだか妙にサイケデリックな絵柄でちょっぴり違和感。 40.「ガールフレンド」(エレナ・ガグリルコ / 10:18 / 1989) ★★★★☆ エレナ・ガグリルコ監督その2、お魚のガールフレンドができたおじいさんの物語。 順序的には上の「えんぴつと消しゴム」より先に制作された模様。 黒クレヨンでガガッと描いたような、ハンドメイド感漂う荒いアニメーションが 素朴な味わいと独特の切なさを加えていてよい。 「お魚のガールフレンド」って発想がまずすごい。 そしておじいさんと仲良く暮らすうちに陸に慣れてしまい、 海に入ると溺れるようになるというのも従来のお魚像を根底から覆す設定。 いまだかつてそんなお魚が出てくるお話があっただろうか! 41.「ネコとピエロ」(ナタリヤ・ゴロバァノバ / 10:29 / 1988) ★★★★☆ ナタリヤ・ゴロバァノバ監督作品。 ピエロに拾われて芸を仕込まれ、舞台で注目を浴びる快感を覚えてしまったネコの話。 今まで出てこなかった絵柄だなあ。 キュートネス系ど真ん中ではなく、好き嫌いが分かれそうだけど しばらく見てると妙に愛着の沸いてくるキャラクターデザイン。 ネコのちょっとヒネくれた天邪鬼な性格もデザインに合ってて良いね。 ダイナミックなアニメーションとクールなBGMもかっこいい! 42.「少年期」(ナタリヤ・ゴロバァノバ / 10:26 / 1986) ★★★★☆ ナタリヤ・ゴロバァノバ監督。「ネコとピエロ」の前の作品。 動物に変身したり動物を人間に変身させたりする能力を持った少年が さまざまな騒動を起こす話。 子どもの自由な想像力と可能性、それに対する大人たちの理解、がテーマなのかな。 原題の"Boy is a Boy"というのがまた意味深。 子どもが何になったって、子どもは子ども。 あと、鉛筆で描いたようなモノクロの絵でずっと展開していたのが ラスト1分になっていきなりフルカラーの幻想世界に突入するのが印象的だった。 モノクロの現実を取り込むカラーの夢。 サイケデリックで圧倒的なラストは一見の価値あり。 43.「古い階段」(アレクサンドル・ゴルレンコ / 06:30 / 1985) ★★★★★ イリーナ・ピヴォワーロワの詩を基にした、アレクサンドル・ゴルレンコ監督の作品。 古い階段のある家で、ある夜少年が見た極彩色の夢。 ベッドルームに向かう階段のきしむ音が頭に残って、夢の中に入り込んでくる。 夢をテーマにした構成や、豪快な絵のタッチは 前出のフルジャノフスキー監督の「ちょうちょ」を思わせる。 短い作品ながら、カラフルな詩的世界に酔える。個人的に好きです。 44.「空飛ぶワニ」(アレクサンドル・ゴルレンコ / 03:53 / 1982) ★★★☆☆ アレクサンドル・ゴルレンコ監督その2。「古い階段」の前の作品だけども、 かわいらしい絵柄にほほえましいストーリーでまったく似ても似つかない作風。 鳥の子供ができちゃったワニが、仲間にバカにされつつも愛をもって育て上げる。 異質な他者に対しても、愛があればその違いは乗り越えられる、という話。 作品そのものはかわいらしくコンパクトで良かったんだけど、 女性の声でかぶせられた吹き替え音声(何語を何語で吹き替えてるの?) がすんごい棒読みっていうかひたすら合ってなくて萎えた。 45.「ネコとすてきな仲間」(アレキサンドル・グルエフ / 09:03 / 1990) ★★★★☆ ネズミ屋敷の家で、一向に働かないダメ猫のお話。 ネズミを捕るどころか逆に仲良くなったりして、実に遺憾なく役に立たない。 「トムとジェリー」のトムに異常にやる気がない版みたいな話なのかなあと思ってたら 予想もつかない終わり方で、なんだか示唆に富んでいて面白かった。 冒頭の空を飛ぶ鳥をうらやましそうに眺める猫のカットは伏線だったのかー。 46.「ラスト・ハント」(ワレンチン・カラワーエフ / 10:27 / 1982) ★★★★☆ 猟犬とツバメ、狩るものと狩られるものの間の許されざる愛的なテーマ。 しかし猟犬の思いは報われず。 思ったより鬱度の高いラストだった。 そこで何もなしかよ!っていう突き放し感がたまらない。 俺は好きなんですけどね、そういうの。 47.「山びこさん」(アレクサンドル・マザーレフ / 02:59 / 1990) ★★★★☆ 周囲から届く音を真似して返すことしかできない、山びこさんの小話。 このキャラクターいいなあ。山びこをがんばって返してる感がコミカルでキュート。 造形もステキ。手足が本体とつながってなくて浮いてるよー。 最初から最後まで「あーうー」しか言わない女の子は、 なにか口が利けないとかそういう設定なの? それとも「あーうー」ってロシア語で「助けて」って意味だったりするんだろうか。 48.「射撃場」(アナトリー・ペトロフ / 09:50 / 1977) ★★★★★ アナトリー・ペトロフ監督。 オープニングBGMが『オリーブの首飾り』でなんだか拍子抜けするけども、 中身は久々にきた重厚なタッチとヘヴィな内容の物語。 シュールに走らずあくまでリアルに話を紡いでいく作品は、 ここにきて初めてじゃなかろうか。 「恐怖の意思を読み取って攻撃を仕掛ける戦車」という悪夢的な設定はとても好き。 それに絡んだ人間の心理戦もよく描写してあるし、 「復讐心は何も生まない」と言わんばかりの主人公の末路も良い。 光が異常に強調された画風がちょっと気になったけど、個人的にすごく好きな作品。 49.「歌の先生」(アナトリー・ペトロフ / 03:13 / 1968) ★★★★☆ アナトリー・ペトロフ監督の前作。 こちらには「射撃場」のようなヘヴィさとリアルさはない。 「歌の先生のもとに、なぜかカバが習いに」という シュールで不条理な設定をもとに展開するブラックユーモア。 これはこれですごく悪夢的。オチもパンチが効いてる。 「射撃場」も含め、この監督はかなり自分のツボ突いてきます。 どうでもいいけど、最後に歌ってたのってミッキーマウスマーチ? 50.「恐竜の山」(ラサ・スタウトマネ / 09:42 / 1967) ★★★☆☆ 恐竜の世界の栄枯盛衰を、ものすごいデフォルメして描いた作品。子どもへの教育用? 「気候の寒冷化の結果、殻が厚くなりすぎて子どもが卵から出られなくなって絶滅」 ってことで描いてるけど、それは実際の要因としてはわりとマイノリティだよねー。 と理系っぽく野暮なツッコミを入れてみる。 小さい恐竜のつぶらな瞳がとってもキュートネス。 51.「コンタクト」(ウラジミール・タラソフ / 10:07 / 1978) ★★★★☆ 宇宙人と出会っちゃった画家の男のお話。 全体的にものすごいセンスのよさを感じる。 カラフルな色彩(宇宙人自身がカラフルでおっしゃれー!)、 軽快なBGM(なぜゴッドファーザー?という疑問はさておき)、 映像表現(男の被害妄想がモノクロで唐突に挿入されるシーンとか)、 どれもとても素敵。 関係ないけど、この画家の男の顔を見るとなんかすごいデジャヴを覚える。 誰だろう、ジョン・レノン?どうでもいいけど。 52.「ケレ」(M.アルダジン & P.ペドマンソン / 06:40 / 1988) ★★★★☆ 「シベリア東端に住む先住民チュクチ民族の民話による作品」とのこと。 民話ベース、というのに合わせてプリミティヴな感じのタッチ。 セピア+黒ベースの彩色も含めて、こういうテイストは たびたびブログで名を出している山村浩二の「年をとった鰐」とか 以前紹介したZUMBAKAMERAの"Bendito Machine"を連想させる。 でもこの2つのような悲劇的要素とかブラックさとかはなく あくまでコミカルなノリで楽しく展開。 悪霊ケレが川を飲み干そうとするシーンでは「お、三枚のお札か!?」と思ったけど 結局飲み干せずギブ。日本の鬼婆の方が強いということがわかった。 ちなみに「子どもを追って川を飲み干そうとし、腹が裂けて死ぬ」という流れって アルプス地方に伝わる「赤ずきん」の類話にも出てくるけど何か関連あるのかな。 というわけで、結局11月最終日になってしまいましたが、何とか完走しました。 ほとんど自己満足ではありますが、何かやり遂げた気分です。疲れたー。 * コメント *
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